【シリーズ用語解説②】「上位会員」
小売業を取り巻く環境は、競合店の激化による狭小商圏化・少子高齢化による世帯消費額の減少により厳しくなっています。
こうした中では、「顧客シェアの深耕」が課題となります。つまり、「どれだけ上位会員層を厚くするか」が重要です。
会員の分類方法
グリーンスタンプ社では、買上金額に応じて会員を上位会員・中位会員・下位会員の3段階に分類しています。
【SMの場合の買上金額設定】
※SMはスーパーマーケットの略称
上位会員:月間2万円以上購入の会員
中位会員:月間1万円以上購入の会員
下位会員:月間1万円未満購入の会員
購入金額における定義としては、月間食品消費額を「55,000円~57,000円」とした際、安定シェアの42%である2万円以上を「上位会員」として定義しています。
以下は、I社H店のランク表です。
稼働会員の約2割である上位会員が会員売上の6割以上を占めています。
会員組織がある程度安定しているお店はこのような構造です。
一世帯あたりの購入額が高い上位会員を増やしていくことが、お店全体の業績を伸ばすことに繋がるため、下位・中位会員の「あと1回の来店」「あと1品の買上」を増やすことがポイントです。
また、毎月同じような構造だとしても、上位会員もランクダウンを起こして入れ替わります。よって、その維持も必要となります。
上位会員を大切にすること
いつもお店を利用してくれている上位会員を増やすためには、まず、会員のことを知り、感謝を伝えることが出発点になります。
I社では、上位100位までのお客様のリストを出したところ、誰も1位のお客様の名前を認識していなかったということが判明しました。
そこで、来店時に従業員だけが分かる合図をプリンターメッセージで出し、確認しました。
カードデータを見て、最初に、上位100人のお客様の顔を覚え、感謝の気持ちを添えて挨拶することから始めようとしたI社の社長から、私たちは大切なことを学ばせていただきました。
元々、グリーンスタンプのカタログ商品は、「お歳暮やお中元の代わりに感謝を形にしてお渡ししましょう」ということから始まっています。
購入額に応じて貯まったポイントで商品交換をして頂くため、カタログ交換経験者を分析すると、上位会員が多く、商品交換の参加会員の月間世帯買上額は、カード会員平均の2倍以上です。
お店によっては、店頭で交換商品のお渡しを行っていますが、お店から上位会員に感謝を伝えるという意味では、商品交換会や店頭でのお渡しにお店の方に関わって頂くことも必要な行為だと思います。
「上位会員をどのような形で大切にするのか」「感謝をどのような形で伝えるのか」、これはそれぞれのお店らしさを表現することにも通じるのではないでしょうか?
上位会員厚遇策として「交換商品について」「MVP企画」の記事を掲載しております。
ぜひ併せてお読みください。